幾山河 越えさり行かば 寂しさの 終てなむ国ぞ 今日も旅ゆく
「海の声」
旅人は 松の根がたに 落葉めき 身をよこたへぬ 秋風の吹く
「路上」
忘却の かげかさびしき いちにんの 人あり旅を ながれ渡れる
「路上」
なにゆゑに 旅に出づるや, なにゆゑに 旅に出づるや, 何故に旅に
「死か芸術か」
山みちの 落葉ふみつつ おのづから おもふかなしき 妻子等がこと
「渓谷集」